街の記憶


笑い声が聴こえる

 遠い昔に聞いたことのあるような


声を追って 角を曲がるが

 そこはまた 似たような乾いた道

やせこけた犬が 声も無く唸る


窓からむずかしい顔をしたおじいさんが

 「もう 戻りなさい」と 言う


意地になって進む

町はわけのわからない形に歪んで

私を ひるませようとする




そこは笑い声が 失われた町

 記憶だけが残る町



歳をとることを やめた故郷




















闇に笑う。

いったい どれだけの年月が経ったのだろう



古びた紋様をみて怯えた子供は
疾うの昔に旅立った


何億もの雲が 陽の光をさえぎり
何百もの蝶が 羽を休めた




いったい どれだけの人が 泣いたのだろう

時代ごとに悲劇があった 
たんまり儲ける人もいたが
愛のある人より 幸せだったとは言えない




いったい誰が 生きていたというのだろう

みな 闇の中に沈むというのに













饕餮文』 Tao-tie

かぜのおと。

それは古い時代の楽器の音


不協和音すれすれの淵をなぞって



   心のおもてに、波紋をたてる






それはきっと 風の音



  暗い森を抜けてきた時に枝葉がたてた



 遠い昔に聞いたきりの


  忘れかけていた 孤独な音 




















                      
  
     『風神』(デコ・ジャケット展出品作)



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「Decorated Jacket -作家が飾るジャケット展-」


 北青山のギャラリーダズルさんにて、ジャケット展に参加させていただいてます。
http://bit.ly/Y9zFgX


 


 「ジャケットをキャンバスに見立てて、自由な発想でデコレイトした作品」と
 いうテーマです。


 他の作家さんは皆、20代〜30代でしょうか。明るくて、可愛らしい作品が揃っているようです。
 Over70は私だけです(苦笑) まあ、温かい目で観て下さいますよう。


  『風神様』を刺繍とパッチワークキルトで、背中にデザインしました。
  材質はシルク、麻、ウールです。 唯一の和モノですね。

  
  会期が終わりましたら、画像アップしたいと思います。



   場所がちょっと、分かりにくい。
 
 銀座線・外苑前駅 三番出口から出て、横断歩道を渡ったら、BMWのビルがあります。
 ビルに沿って右折。細い路地です。一見、行き止まりに見えますが、どんつきを右折。
 そのまま進むと左手に gallery DUZZLEさんの看板があります。


   何かのついでがありましたら、覗いてみて下さい。






  
  

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モンスーン地帯 Ⅱ

時ならぬスコールが 褐色の街道を走り抜ける






   雨粒が叩く水溜りに 人々が目を落とす中



   碧眼の少年は 遠い森に思いを巡らす






  あの 花びらの様な羽根の小鳥たちは



   うまく 雨宿り出来てるだろうか



  








  雨のクシが 森を梳いてゆく 














Monsoon Area Ⅱ